続き物記事（１）日本語教育機関その３、日本語教育機関などで日本語の先生になる

　前回は日本語教育にもいろいろあるね、というところまで書きました。

　僕はこれまで色々なところで日本語を教えてきました。仕事としては日本語教育機関（いわゆる日本語学校と、専門学校の日本語学科）と大学で働き、ボランティアとして地域日本語教室で教え、すこし外国の子どもたちの教科学習支援にも行きました。小学校での外国の子どもたちの状況についてもいろいろな話を聞きました。場所も思うところも違う人々が日本語教育に携わっています。全体像を把握する必要があるのか無いのかも疑問ですが、そんなナゾに包まれた日本国内の日本語教育の世界をあれこれ覗いてきた者として、これから日本語教育の世界に飛び込もうとしている人たちにちょこっとだけ紹介してみたいと思っています。

１．日本語教育機関などで日本語学校の先生になる

　日本語の先生になろうという人が世の中には結構いるようです。実態はともかく、なかなか楽しそうな仕事だと見えているのだと思います。華やかなイメージもあります。国際的、なんてイメージもきっとあるでしょう。楽しく日本語学校の世界を紹介しているマンガもあります。マンガなんかは読んでいると「おお、そうそう！」と思うところがたくさんあってとても面白く読めます。

　先生になろうという人が第一歩を踏み出すためにはいくつか方法があります。その方法を取ったからといって必ずお仕事があるとは言えないのは、たぶんほかのお仕事でも同じです。反対に、なぜか真っ当なルートじゃなかったけど日本語の先生になっちゃった、という人もいるかもしれません。

　まず、求人情報を探してみましょう。

「日本語教師　求人」とインターネットなどで検索してみるといろいろなサイトが見つかると思います。日本国中、時には海外でも、日本語の先生の募集は常にあります。（場所と待遇を）選ばなければ、お仕事はいくらでもあります。断言して大丈夫だろうか。

　求人は、例えばこんなサイトから探すことができます。

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日本村　nihonmura　http://job.nihonmura.jp/

国ごと、都道府県ごとに求人が分類されていて見やすいです。

日本語オンライン　http://nihongo-online.jp/net/

求人以外に日本語教育にまつわる色んな話題も。難しい話も多い。

そうがく社　http://www.sogakusha.co.jp/kyoshi.htm

本屋さんも求人情報を載せたりしています。実店舗も楽しいですね。

JREC-IN https://jrecin.jst.go.jp/seek/SeekTop

大学の先生についての求人。絞り込み検索で日本語の先生も。

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　ただ、すぐさま高いお給料が貰えて生活を安定させることが出来るという類の仕事でないのは確かです。日本語学校というビジネスは多くの弱点を抱えていて、それが先生の待遇に反映されているのだという部分は否めません（そういったことについてはまた後で述べます）。

　でも、とにかく最初のうちはどこかで採用されなければ、キャリアそのものが始まりませんからね。

　求人情報を眺めてみると、多くの機関が「次の条件に当てはまる人を募集しますよ」と記載しています。

（１）大学で日本語教育に関する主専攻（日本語教育科目４５単位以上）を修了し、卒業した人

（２）大学で日本語教育に関する科目を 26 単位以上修得し、卒業した人

（３）日本語教育能力検定試験に合格した人

または、

（４）次のいずれかに該当する者で日本語教育に関し、専門的な知識、能力等を有する人

　１）学士の学位を持つ人

　２）短大か高専を卒業した後どこかの学校で日本語に関する教育や研究をした人

　３）専門学校を卒業して、学校等で日本語に関する教育や研究をしていた人で、専門学校と合算して４年以上経った人

　４）高等学校において教諭の経験のある者

　上記は、法務省や一般財団法人日本語教育振興協会（以下、日振協）が定める日本語教育機関の教員資格です。

法務省　http://www.moj.go.jp/content/000073836.pdf

日振協　http://www.nisshinkyo.org/review/pdf/index02.pdf

　ふたつはまったく同じ書面ですね。この「日本語教育機関の運営に関する基準」は文部省（現文部科学省）と日振協が仲良く一緒に作ったものですから。

　日振協は長い間、日本語教育機関の審査認定にかかる仕事をしていました。しかし平成２２年のいわゆる事業仕分け（懐かしい）で、「法務省がお墨付きを与えるべき審査認定事業について、一財団法人が寡占している状況はよろしくない」とか「一機関の審査認定を『おかみ（＝法務省）』がそのまま納得し受け入れている状況もよろしくない」と指摘されてしまいました。

http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9283589/www.cao.go.jp/sasshin/data/shiwake/result/B-38.pdf

（余談　↑　以前に見たときには内閣府のページにあったのですが、もうなくなっちゃっているのですね。そういった「なくなっちゃっていくウェブページ」を国立国会図書館が保管しているとは知りませんでした。お仕事ご苦労様です。上記ページ最終閲覧は160215。）

　日振協仕分け以来、日本語教育機関の審査認定は法務省も直接行っています。

http://www.nisshinkyo.org/review/

http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri07_00044.html

　ともかく、今でも一般的に、先にあげた（１）～（４）の基準に当てはまる人が「日本語の先生の資格を持っている」と言われるのです。

　でも、なかなか当てはまるのは難しそうだと思いませんか？日本語に関する大学に行かなかった人は必ず（３）の試験に合格しなければならないように見えますね。

　それでも多くの人が日本語の先生になっているのですから、日本語教育学科に行く人がたくさんいるのかもしれないし、その長い名前のなんちゃら試験が簡単なのかもしれない。

　さてさて、どうなっているのでしょう。

・・・つづく。

#日本語 #外国人 #続き物１